いつかの日か手に取って目にするのをずっと楽しみにしているものがある。
それは一冊の本だ。まだこの世で出版されていない。
その本が出版されるのを、ずっと待っている。
僕は文学賞なんて興味がない。どこかの出版社が主催している賞なんて興味がない。あらゆる賞に興味がない。本屋に並んでいて興味があるのは古典と言われるものくらいだ。そんな僕にとって、まだ出版されていないその本は例外中の例外だ。
僕はある人が書くであろう本を目にする日をずっと待っている。
その人がどんな名前で書こうが、沢山の本の中から絶対に見つけ出せるという自信がある。