第41章 絶対に会えてよかった

絶対に会えてよかった<73>

まっすぐな道路を走っていると、そのうち右手に坂道が見えてきた。 車は右折してその坂道を上り始めた。途中から道路は途切れて舗装もされていない砂利道に変わった。道は先に進むほど狭くなっていった。まだ工事中の道なのか、途中には草が茂っていて、この…

絶対に会えてよかった<72>

名神高速道路なのだろうか? それとも全く別の高速道路なんだろうか? 京都市内の城南あたりで高速に乗ったようだけど、自分がどの高速道路を走っているのか分からない状態だった。ただ時々見える看板を見ると滋賀方面じゃなくて大阪方面に向かっているのだ…

絶対に会えてよかった<71>

待ち合わせの約束時間は21時だった。 ボクは『金閣寺道』のバス停で降りて、金閣寺の向かって歩き出した。いつもなら修学旅行の学生や観光客でごったがえしている道だけど、夜遅い時間だったから誰もいなかった。バス停近くの和風料理店から三味線の音が流れ…

絶対に会えてよかった<70>

つい3か月くらいにも見た夢だ。 ボクは何故かアパートではなく一戸建ての賃貸に契約して住み始める。 めちゃくちゃ広い部屋が3部屋あって庭付きの部屋に住み始める。引っ越して荷物を置いても部屋はガラガラだ。 ボクは広い部屋に呆然と立ちつくして引っ越…

絶対に会えてよかった<69>

このサイトを読んでいるゲイの人たちは、みんなどこかで会って誰かと寝るときに、いったいどこで寝てるんだろう。 どっちか相手の自宅かアパート? どこかのラブホテル? どこかの旅館かビジネスホテル? どこかの有料ハッテン場? どこかの公衆トイレ? ど…

絶対に会えてよかった<68>

喫茶店を出て京都駅の構内を横断して、烏丸口のバスのりば前までたどり着いた。 ボクはバスに乗って家まで帰るつもりだった。彼の方は一旦ホテルに戻って荷物をまとめてから左京区の学会の会場に行く予定だった。 「もしよかったらだけど君が実家に戻ってき…

絶対に会えてよかった<67>

従業員のおばちゃんは、二人分のサンドイッチとコーヒーを運んできた。 彼の前に置かれたサンドイッチとコーヒーを見ても何の違和感も感じなかったけど、次に自分の前に置かれたサンドイッチはともかく、コーヒーを見て固まってしまった。 この小さいカップ…

絶対に会えてよかった<66>

喫茶店に入ると新聞を読んでいる年配の客が何人かいた。地元に住んでいる常連客のようで、店に昔からある置物のように馴染んでいた。京都駅に近いけど、観光客らしく人はいなかったので、ボクと彼の若い男連れ二人の存在は自然と浮いてしまった。 店内はタバ…

絶対に会えてよかった<65>

で……いきなり激しく話が逸れたけど何の話を書いてたっけ? そうだった。彼とホテルで寝ているところだった。逸れてしまった話を戻すことにする。 結局、彼はぐっすりと朝まで寝ていたけどボクは、ほとんど寝ることができずに、そのまま少しだけまどろんだけ…

絶対に会えてよかった<64>

ここで全く話が逸れるけど、ちょっと陸上のユニフォームや女装のコスチュームに話を戻す。 こうやって文章を書きながら「ボクは本当にコスプレ的なことに興味がないのかな?」と見つめ返していたのだけれど、あることに気が付いた。 そういえばボクが好きに…

絶対に会えてよかった<63>

シャワーを浴びて出てくると、彼はぐったりと疲れてベッドに横になっていた。 もう帰ろうかな。 また売り専のような感じで肩身の狭い思いをしながら、ホテルのフロントの前を通り過ぎるのは憂鬱だったけど、ボクは誰かと一緒に眠るのは苦手だった。どちらか…

絶対に会えてよかった<62>

なんだか彼はボクのことを全く見てくれていない気がした。 これは女装することをお願いしてきたヨウスケさんにも言えたことだったんだけど、もし女装してところで、彼が好きなのは女装しているボクであって、きっと女装していないボクには興味がないんじゃな…

絶対に会えてよかった<61>

ちょっとエロ小説みたいな表現が続くけど書き進めていく。 ボクはベッドの上で彼を抱きしめてあげなら、ユニフォーム越しに体を優しく触ってあげていた。とくにさっきまでとやってることは変わってないはずなのに、彼の方は豹変してしまっていた。 「一人で…

絶対に会えてよかった<60>

ボクからすれば今更、陸上のユニフォームが出てきたと驚きはしない。 ゲイ動画などでユニフォームを着衣してヤッてるのを見かけたことはあったし、そういったユニフォームや体操服などのコスプレに興味がある人たちがいるのは、インターネットの掲示板などを…

絶対に会えてよかった<59>

あぁ……この袋を開けたら「セーラー服」があって、その服を着て「女装」してくれととか言ってくるんだろうな。 ボクはこの流れの展開からして、以前に出会ったヨウスケさんと同じだと思っていた。 でも、よくよく考えると渡されたビニール袋は、とても小さく…

絶対に会えてよかった<58>

ボクは当時、自分のことを「ウケ」だと認識していた。そして彼の方も自分のことを「ウケ」だと認識していた。だから「ウケ✕ウケ」の関係になった。 そうなると自然に特に過激なことを行われることなく、会話を楽しみながら抱き合ったり、キスしたり、触り合…

絶対に会えてよかった<57>

高校時代のある時期から、何か困ったことがある時に「彼ならどう考えるだろう?」とか「彼ならどうするだろうとか?」とか考えるようになっていた。ここまでくると、もう彼に対する感情は「憧れ」とか「尊敬」とか飛び越して「崇拝」の領域に達していた。た…

絶対に会えてよかった<56>

「もしかして医師ですか?」「そうだよ」 机の上に散乱しているレントゲンの画像やパソコンの画面に映った発表資料の内容を眺めると、誰でも「医師だろうな」と気がつく。ついでに若い彼が一人で高級ホテルに宿泊していることにも合点がいった。 かなり時代…

絶対に会えてよかった<55>

「飲む?」 彼は冷蔵庫からビール缶を取り出して勧めてきた。 まぁ……一杯くらいならいいかな? お酒は弱いけど一杯くらならいいやと思った。ボクは一杯目で顔が赤くなってしまって、二杯目で頭がクラクラして、三杯目で吐くペースだ。彼の実家は農業をしてい…

絶対に会えてよかった<54>

彼に案内されて部屋の中に入って最初に気がついたのが、窓から見える京都市内の夜景が綺麗なことだった。 「綺麗ですね!」 ボクは田舎育ち丸出しの状態で、窓から見えるビル街の夜景に感激してしまった。 その窓の近くには高級そうなテーブルが置いてあった…

絶対に会えてよかった<53>

ボクは緊張しながら高級カーペットを歩いて、目的地の「514号室」を見つけた。 ドアの前に立ってメールを送って相手を呼び出そうかと思ったけど、ここまで来てしまったらノックした方が早いと思った。 ボクは部屋の中いる相手の顔を知らなかった。それは…

絶対に会えてよかった<52>

ホテルに入るとフロントに立っている年配の男性の視線が突き刺さった。 でも流石に高級ホテルの従業員だけあって教育が行き届いている。明らかに胡散臭そうなボクに対しても、頭を下げて丁重に挨拶をしてくれた。 ボクも狼狽えて従業員に頭を下げ返して、い…

絶対に会えてよかった<51>

夜の22時過ぎ。ボクは京都駅近くのホテルの前に立っていた。 一階にエレベーターはどこにあったかな? 冬の京都市内は寒くてコートのポケットに手を入れて目の前にそびえ立つホテルを睨んでいた。そして頭の中でホテルの構造を思い出していた。 目の前の建物…

絶対に会えてよかった<50>

ボクは自分のルックスに自信がないのもあるけど、それを抜いたとしても好みのタイプだと思える人を手あたり次第に、誘ってみる気にはなれなかった。 誰でも彼でも相手を見つけては寝ている彼のことが羨ましいと思いつつも、「同じようになりたいか?」と問わ…

絶対に会えてよかった<49>

ボクはずっと気になっていた彼がモテる秘密について質問をした。彼は40代を過ぎていて、お世辞にもルックスは、カッコいい方じゃなかった。それなのに店に来ている客の大半と寝ることに成功していた。よくあれだけ誰でも彼でも寝て病気にかかったことがなか…

絶対に会えてよかった<48>

ある程度の好みのタイプだったら、誰でも彼でも見境なく手を出してしまう40代の彼。 そんな彼にも一度だけ手を出すのを躊躇したことがあった。 その相手は、この章の2つ目に出てきた「向井理(似)」だった。 あの日、向井理(似)が現れた時、40代の彼も一緒に…

絶対に会えてよかった<47>

彼は個室から他の男性と一緒に出てきて、廊下に立っているボクを見つけた。 「あぁーしんどい!」 そんなことを言いながらダルそうに体を引きずりながらボクの横に立って頭を肩に置いて甘えてきた。ついでに股間を触ってきたけど、それは無慈悲に手で払った…

絶対に会えてよかった<46>

その40代男性との出会いは、ある有料ハッテン場の廊下だった。 ボクが店の暗い廊下に立って考え事をしていると、目の前を歩いた男性が立ち止まって股間を触ってきた。 うっすらと見える彼のシルエットから なんだかボクの好みのタイプじゃないな…… そう思っ…

絶対に会えてよかった<45>

それにしても「奉仕」の質問について回答を始めてから、一気に話の雲行きが怪しくなってしまった。まさか書いている本人も、ここまで彼との話を赤裸々に書くつもりなんてなかった。女装の話だけをメインに5回くらい書いて、さっさと終わらせてつもりだった。…

絶対に会えてよかった<44>

ボクはしばらくの間、未練がましくもヨウスケさんのことが忘れられなくて、京都にいる間、ハッテン場に行く度に、いつかどこかで再会することがないかと気になっていたけど、彼の姿はどこにも見当たらなかった。彼の通っていた大学に用事があって足を踏み入…